ポリエチレン管の特長

ポリエチレン管の特性・メリット・基礎知識のご紹介

ポリエチレン管は、高密度ポリエチレンを原料とするプラスチック材料で作られた管のことです。ポリエチレン管は、衝撃に強く、可とう性があるので地震による地層のずれや地盤沈下に追従して屈曲するため、災害時でも折れたり破損したりしにくい管材です。東日本大震災などの大きな自然災害でも、ポリエチレン管が破損する被害はほとんどありませんでした。軽量で加工が容易であることと、施工性が非常に高いことから、災害復旧でも多くの実績があります。また、ポリエチレンは耐寒性、耐薬品性に優れ、腐食しにくい耐久性の高い素材です。管材の成分が溶け出して自然環境を汚染することがないので、健康やエコに配慮する必要のある用途にも最適な管材です。

ポリエチレンとは

ポリエチレンは、化学的には炭素と水素のポリマー(高分子の有機化合物)からなる合成樹脂、つまりプラスチックの一種です。プラスチックのなかでもっとも生産量が多く、身の周りのさまざまな場所に使われています。例えば、スーパーのレジ袋、食品や化粧品などの各種容器、ポリバケツやポリタンクなどがポリエチレンからつくられています。レジ袋などに表記されている「PE」はポリエチレンの略称で、その製品がポリエチレン製であることを示しています。

ポリエチレンは重量が軽く、化学的に安定しているので酸やアルカリに対する耐性が強いのが特長です。低温でももろくなりにくい低温特性や環境適性にもすぐれている、長期安定性のある素材として知られています。また、電気を通さない絶縁性もあります。ポリエチレンは、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンに大きく分けられます。低密度ポリエチレンは透明性が高く、やや軟質なので、ホースや食品包装、マヨネーズ容器のようなやわらかな容器などに使われています。高密度ポリエチレンは「硬質ポリエチレン」とも呼ばれるように、より硬さがある素材です。洗剤などの容器や各種パイプ、レジ袋などに使われています。

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ポリエチレンの化学構造

  主な使用用途
低密度ポリエチレン 食品包装材、ゴミ袋、農業用フィルム、衛生手袋、水撒きホースなど
高密度ポリエチレン 高密度ポリエチレン管、包装材、化粧品容器、バケツ、ガソリンタンク、コンテナなど

 

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ポリエチレン管の特性

外圧に強い

高密度ポリエチレン管は、高外圧に耐えうる埋設管として、下水道管や排水管など様々な分野で広く採用されています。

高い土被りに対応

外圧

高密度ポリエチレン管は、高外圧に耐えうる埋設管として、下水道管や排水管、導水管など様々な分野で広く採用されています。
また、同耐圧の他管種と比較しても軽量であることから高い施工性を発揮しています。

内圧に強い

外圧に強いだけではなく、内圧にも強いポリエチレンパイプ内圧管も登場し、上下水道・ガス・工業用水等の様々な分野にてその優秀性が認められ、多様な用途で使用されています。

最大圧力1.60Mpaに対応

高い耐圧強度を誇るポリエチレンパイプ内圧管は、設計圧力1.60MPaに対応できます。ISO規格に準拠しているので、水密性、耐震性、耐久性においても安心で信頼性の高いパイプラインの構築ができます。

  SDR11 SDR13.6 SDR17 SDR21
呼び径 φ315〜φ630 φ315〜φ800 φ315〜φ800 φ315〜φ800
設計圧力※(MPa) 1.60 1.27 1.00 0.80

※設計圧力における安全率は、ISO 4427-2007に基づき1.25を見込んでいます。
※SDR(Standard Dimension Ratio)は管外径φDを肉厚tにより除した値です。(SDR=D/t D:パイプ外径、t:パイプ肉厚)

 

水密性の高いパイプライン構築する継手システム

ポリエチレンパイプ内圧管の接続はバット融着、EFジョイントの方法を行うことで、圧送管に要求される高い水密性を実現しています。

 

バット融着

一定温度に加熱されたヒーターに接続するそれぞれの管の端部を密着させ加熱融解し、その後融解した端部同士を圧着することによって、ポリエチレン樹脂が一体化して接合されます。バット融着部のポリエチレンは母材と同等の強度を有します。

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EFジョイント

パイプの接合部に挿入したEFソケットに通電し、樹脂を融着して接合する方法。パイプと継手が一体化するため、接合部の強度に優れます。

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耐震性があり地震に強い

継手は伸縮・可とう性、およびゴム製ガスケットによる接合で離脱防止性能を有しているため、地震による大きな地盤歪み、継手部の屈曲が発生しても安全性を保ちます。

地震動による継ぎ手の抜け、屈曲に対しても安全

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地盤の歪みに柔軟に追従する可とう性

継手と管本体ともに伸縮・可とう性を有するため、軟弱地盤における不同沈下及び地震による地盤歪みに対応できます。また、一体構造管路においても、管の柔軟性が高いので地盤変動に追従します。

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扁平強度が大きく、剛性が高い

ポリエチレン管に外圧を加え、たわみ率50%の形状変形をしても、座屈をおこしません。大きな外圧がかかる場面でも使用できます。

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試験:たわみ・偏平試験
管種:高密度ポリエチレン管(セルプレスト管)
条件:偏平速度 12.5mm/min

 

耐摩耗性に優れ、極めて丈夫

高密度ポリエチレン樹脂製のポリエチレン管は、耐摩耗性に優れ極めて丈夫です。主要な他の材質に比べても、摩耗量は最も低い数値を誇っています。

主要管種比較で耐摩耗性No.1(テーバー式摩耗試験による比較)

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テーバー式摩耗試験とは

レコードプレイヤーのように回転する回転台の上に試験片を取りつけ、その上で、研磨紙が付いた2つの摩耗輪を荷重しながら回転させ、連続的に試験片に摩擦を加える試験法です。摩耗質量が求められるほか、目視や工学的変化も測定できます。

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試験数 N=3 試験環境 23±2℃
試験数の荷重 9.8N 回転数 500回転
試験片の回転速度 60±2/min 摩耗輪の種類 H18

 

平均摩耗値(ダルムシュタット法)による比較

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高い耐久性

高密度ポリエチレン管は強靭な強度に加え、「耐摩耗性」、「耐薬品性」にも優れるため長期間の使用も問題ございません。また、耐候性も優れているので露出配管も可能です。
ライフサイクルコストの観点からもメリットが大きい管材です。

 

ポリエチレン素材の耐久・耐候性検証試験

試験内容

30年前に布設されたポリエチレン素材の角型U字溝の引張試験です。品質規格をクリアし、性能に問題がないかを検証します。

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角型U字溝の布設状況
布設場所:長野市信濃町
(布設年:昭和58年)

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30年布設された高密度ポリエチレン製の角形U字溝から、一部を採取し引っ張り試験を行う

試験結果

ポリエチレン素材の角型U字溝は、布設して30年経過しても性能には問題はないと推察される

管種 管路延長(km)
角型U字溝(ポリエチレン製U字溝) 23.2

《検証まとめ》

高密度ポリエチレン樹脂を使った製品は耐久性・耐候性に優れていると言える

 

酸・アルカリに強い耐薬品性

高密度ポリエチレン樹脂の特性により、酸・アルカリに強く電解腐食、接触腐食、塩害にも耐性があります。また、サビ、細菌、水あか等の影響もありません。

 

薬品名 温度℃
20 60
塩酸 35%
硫酸 60%
〃 95% ×
〃 98% ×
硝酸 25%
〃 50% ×
〃 70% ×
〃 95% × ×
燐酸 50%
〃 90% ×
〃 95% ×
酢酸 60%
〃 100%
クロム酸
蟻酸
蓚酸
乳酸
ベルゼンスルフォン酸 × ×
オレイン酸 ×
マレイン酸
ステアリン酸
氷酢酸 × ×
過酸化水素
ア  ル  カ  リ
アンモニア水溶液
苛性ソーダ
苛性カリ
水酸化カルシウム
塩        基
重クロム酸カリウム
過マンガン酸カリウム
炭酸カルシウム
塩化第二鉄
塩化バリューム
硫安
金属石鹸

使用できる  ◯通常の条件で使用できる  ×使用できない

 

優れた通水性

内面平滑構造の高密度ポリエチレン管は粗度係数が小さいため優れた通水能力を発揮します。他種管との比較しても流量が大きいので管体の口径サイズダウンが可能になります。

内面平滑構造で流量が大きい

ポリエチレン管は他種管と比較しても、粗度係数が小さいため高い流量を誇ります。強度、耐久性、施工性にも優れるため、様々な用途で使用されています。

他管種との流量比較

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粗度係数比較

管種 粗度係数(n)
高密度ポリエチレン管(ダイポリンハウエル管) 0.010
ヒューム管 0.013
メタルコルゲートパイプ 0.024〜0.033

 

管体のサイズダウンで工費削減

高密度ポリエチレン管は流量の多さから、他管種と比較して口径を小さくすることができます。設置作業も容易になるので工費削減につながります

口径比較

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軽量で施工性アップ。作業効率が向上

ポリエチレン管は他の管種に比べ、重量が軽いので運搬しやすく、施工性に優れています。管体の接続も容易で形状も現場に合わせて設計・加工できるので作業効率も向上します。工事の小規模化が図れるので工事費削減につながります。

他管種と比べ軽量

他管種と比べても軽量なので、布設機械の小型化が可能であり、全体的なコストダウンが図れます。軽量性は構造物として基礎工の軽減を図り、軟弱地盤においても優れた性能を発揮します。

重量比較グラフ

高密度ポリエチレン管の重量比較 2

接続が容易

高密度ポリエチレン管は、他管種に比べ軽量であることから、取り扱いも簡単です。管の接続方法も様々あり、現場の状況や用途条件に応じて選ぶことができます。

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〈ねじこみ式〉
ねじこみ式プレスト管
ねじこみ式ダブルプレスト管

〈差込み式〉
ダブルプレスト管

〈バンド接続〉
独立山シングルプレスト管
独立山ダブルプレスト管

〈バット融着〉
ポリエチレンパイプ内圧管

〈EFジョイント〉
ポリエチレンパイプ内圧管

他管種と比べ軽量

pic_08_07特殊マス pic_08_08大口径管 pic_08_09浄水・雨水・薬品タンク pic_08_10集水ピット
pic_08_11曲管 pic_08_13マンホール pic_08_14Y字分岐管  

 

ポリエチレン管の活用分野

道路横断管

高密度ポリエチレン管は他管種と比べ、強靭で衝撃にも強い優れた耐圧性能を有し、高盛土の土圧荷重にも耐える埋設管として、優れた性能を発揮します。道路横断管として、自動車荷重に耐える安全性も備えています。また、伸縮・可とう性に優れるので地盤変化にも柔軟に対応し地震動における地盤歪みに対しても安全です。

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河川

洪水を防ぐための築堤工事、護岸工事、浚渫工事などの河川工事においても河川の仮廻し管や仮設道路下などにポリエチレン管をご使用頂いております。高密度ポリエチレン管は軽量で接続が簡単なので効率よく作業が行え、粗度係数が小さいため他管種より多くの流量を流せます。

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治山・林道

ポリエチレン管は他種管と比較して軽量なので、急傾斜での施工や運搬が大幅に向上します。
耐摩耗性に優れており、急傾斜の高速流れに対して十分な耐久性があります。また曲げ配管が可能であり地形変化の大きい場所の布設にも柔軟に対応します。

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農業

ポリエチレンパイプの高い追随性が農業用地の軟弱地盤での沈下に対応します。
優れた通水能力(内面平滑管の粗度係数 n=0.01)があり、勾配が確保出来ない農地での安定した送水を実現します。また、耐薬品性に優れており、農薬や土壌の性質に影響を受けません。

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産業プラント・工場設備

産業プラントや工場の配管では、様々な化学性質をもった流体を送水させています。
高密度ポリエチレン管は化学的に安定した素材で、酸・アルカリに強くほとんどの化学薬品に耐性があります。耐摩耗性にも優れ、高い耐久性を誇ります。そのため、長寿命でメンテナンスコストも削減することができます。

産業プラント・工場設備の詳細はこちら

 

管更生

災害や老朽化による排水管や下水道管等の破損は大きな社会の課題です。
漏水や既設管の強度不足による道路陥没などが発生する昨今、事故を未然に防ぐための管更生工事の必要性が益々高まっています。ダイポリンテクノ工法による管更生は既設管はそのままに最小限の占有スペース、最短の工期で施工が可能です。施工箇所、流量に合わせて、様々な条件に対応した工法で管更生を実現します。

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送水・排水

酸・アルカリに強く、耐候性もあるポリエチレン管は耐久性が高く送水・排水管におすすめです。また、耐震性にも優れているため、地震による地盤歪みにも柔軟に対応する安心のパイプラインを構築します。

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酸性土壌

高密度ポリエチレン管はポリエチレン樹脂で作られているため、耐薬品性に優れ、塩害や電飾にも耐久性があり、さびやカビも発生しません。温泉地や沿岸など酸性土壌に管を配管しても腐食することはありません。

酸性土壌の詳細はこちら

 

送風管

SDGsやZEBが意識されるようになり、より省エネで効率的な地中熱を利用した空調設備、より長持ちするダクト管、風管をご検討されるお客様が増えております。高密度ポリエチレン管は、結露しても錆や腐食が起きなく、ライフサイクルコストに優れた長寿命な構造物を構築可能なため、空気に限らず、さまざま気体を送る管としてご使用頂けます。

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まとめ

ポリエチレン管の強みは「軽量で耐圧強度が高い」ことにあります。優れた耐薬品性、耐摩耗性を有し、耐久性も高く様々な使用用途に対応できます。また近年心配される地震に対しても、安全性を誇ります。ポリエチレン管はその優れた性能から、住宅、商業施設、インフラ設備などさまざまな分野で広く使用されています。

安定型処分場〈ダイポリンハウエル管R60φ300,φ500〉の施工事例

新規安定型処分場の浸出水集排水管として採用いただいた事例です。